『ベスト・キッド』

1984年に公開された同名映画のリメイク作品。主演のジェイデン・スミスは『幸せのちから』でデビューしたウィル・スミスの実子。ウィル・スミスとジェイダ・ピンケット・スミスが両親そろって製作に名を連ねている。そして主人公にカンフーを教える師匠役にジャッキー・チェンを配している。監督はオランダ生まれのハラルド・ズワルト。本作品が長編監督作5作目(うちアメリカ映画は4作目)となるそうだが、不勉強ながらいずれも観たことがない。代表作は『ピンクパンサー2』とのこと。


8月14日 公開
原題『THE KARATE KID』
監督:ハラルド・ズワルト
出演:ジェイデン・スミス/ジャッキー・チェン/タラジ・P・ヘンソン

【ストーリー】
父を亡くし、母とふたりで新生活を求めてアメリカから北京に引っ越してきた少年ドレ(ジェイデン・スミス)は、言葉も文化も違う新しい環境になじめず、地元のカンフー少年チェンたちにいじめられる毎日。逃げ道ばかり探していたドレは、ある日、マンションの管理人ハン(ジャッキー・チェン)に助けられる。実はカンフーの達人であるハンは、「自分を守るために使う」条件でドレにカンフーを教え始める。ひたむきに訓練を重ね、逃げずに立ち向かうことの大切さも学んでいくドレ。そしてついにチェンとのカンフー決戦に臨むこととなる・・・。

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2010年/アメリカ/140分/スコープサイズ/全7巻/3,835m/SDDS、ドルビーデジタル、ドルビーSR

公式サイト http://www.bestkid.jp/

物語の大きな流れはオリジナル版とほぼ同じ。大きな相違点は3点。物語の舞台となる主人公母子の引っ越し先がカリフォルニアから北京に変更されたこと。主人公の年齢が12歳に引き下げられて黒人に変わっていること。体得する武術が空手からカンフーに変更されたこと。他にも細かな設定の違いはあるが、登場人物の相関関係や物語の展開はオリジナル版をそのまま踏襲してゆく。ちなみに主題となる武術が空手からカンフーに変わっても原題は『THE KARATE KID』のままらしい。
結果から言えば、不満もあるけれど娯楽作品として楽しめる映画でした。オリジナル版の公開からすでに四半世紀が経っているため、内容だけでなく作品のスタイルも現代のスピードになっているし、何といっても空手からカンフーに変更されたことで映像的な派手さも増していてアクションシーンには爽快感もある。
リメイク版の本篇時間は140分とやや長尺になっているが、オリジナル版も127分と決して短くないので、実妥当な長さなのかもしれない。けれどリメイク版の本篇中に挿入される「絶景!中国観光名所」のようなシーンが少々余計に感じてしまった。一応ただの実景ではなく物語に組み込まれてはいるが、まるで「せっかく中国ロケなんだから」という制作陣の声が聞こえてくるようでもある。紫禁城での映画撮影許可が下りたのが『ラスト・エンペラー』以来とか、そりゃ撮りたいでしょうしね。物語中盤で主人公のカンフー修行が順調に進んでゆく一連のシークエンスでは中国武術の聖地でもあり世界遺産でもある武当山や、万里の長城での修行シーンも登場する。確かに絶景だし映像的な見栄えも素晴らしいが、もう少し短くてもよいかなと思える。
音楽もオリジナルスコアがあまりにも説明音楽なだけでツマラなすぎるなど、他にも気になるところは幾つもあるし、本質的にはウィル・スミス一家のファミリー企画映画であるけれど、それでもクライマックスである大会のシーンでは興奮するし、結果として楽しめる作品になっているので後味は良い。


ミニパラ http://www.minipara.com/movies2010-3rd/bestkid/