『ローラーガールズ・ダイアリー』
ドリュー・バリモア初監督作品。製作も彼女が共同経営に名を連ねるフラワー・フィルムズによる。総論としては、見て損はしない程度に楽しめる青春映画。主演のエレン・ペイジが可愛いです。
ローラーゲームという競技は全く知らなかったのですが、1970年代に一大ブームを起こしたアマチュア競技で、近年アメリカの一部都市で人気が再燃しているとのこと。かなり過激な競技で、一応のルールはあるが反則行為は当たり前、ケガも日常茶飯事というもの。映画の中では、いかにもパワーを持て余している好事家たちが集まりそうなアドレナリン出まくりの競技として描かれており、大会も町の空き倉庫で開催されています。また出演者たちもスケートのトレーニングを行い、競技の全シーンを吹替えなしで撮影しているとのこと。
5月22日 公開
原題「WHIP IT」
監督:ドリュー・バリモア
出演:エレン・ペイジ/マーシャ・ゲイ・ハーデン/クリステン・ウィグ/ドリュー・バリモア/ジュリエット・ルイス/ジミー・ファロン/アリア・ショウカット/イヴ【ストーリー】
テキサスの田舎町に住む、普通の女子高生ブリス。保守的な母親から、美人コンテストで優勝したら将来きっと幸せをつかめると言い聞かされ、コンテストへの参加を強いられる日々に飽き飽きしていた。
そんなある日、“ローラーゲーム”の存在を知った彼女は、試合を観て完全に魅了される。そこに集うのは、年齢も仕事も多種多様、〈女性らしく〉なんて気にせずにワイルドにぶつかりあい競い合う、いききと力強い女性たちだった。
ルールすら知らずに、親に内緒で年齢を偽って新人発掘トライアルに参加したブリスは、すば抜けたスピードを見染められ、入団決定! 選手として才能を開花させながら、年上のチームメイトたちと友情を育み、バンドマンの彼氏もでき、ブリスはやっと【自分の居場所】をみつけたと思えた。しかし、彼女の活躍は内緒にしていた家族の耳にまで届いてしまい、チームにも本当の年齢がバレ・・・。配給:ギャガ
2009年/アメリカ/112分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR、ドルビーデジタル
(C)BABE RUTHLESS PRODUCTION,LLC All Rights Reserved.
ストーリーはよくある青春映画の枠から外れるようなことは何もないが、女性監督が描く少女の成長物語としては全体的に良くまとまっていると思います。出演者たちもベテラン俳優をはじめ、コメディアンやモデルのほか本作品が映画デビュー作となる新人まで多岐に渡っている。主演のエレン・ペイジや母親役のマーシャ・ゲイ・ハーデンはもちろん、主要キャストは皆とても好演しており、個人的にはチームのメンバーの一人マギー・メイヘム役を演じるクリスティン・ウィグが印象に残りました。
けれども物語の展開には所々にご都合主義な部分も散見する。まず主人公が参加するローラーゲームチーム、ハール・スカウツだが、劇中では「暴れられればそれで良い」万年最下位の弱小チームとして登場する。ローラーゲームに魅了された主人公がこのハール・スカウツの新人発掘トライアルに応募するのだが、何故わざわざ弱小チームに参加する気になったのだろうか。たまたま大会終了後に参加者募集の勧誘を受けただけでチームの詳細は分からずに参加したのかもしれないが、それでも何故?と思ってしまう。またチームに採用されてからも、メンバーは「勝てない」ことが当たり前で「暴れられれば良い」と言っているにもかかわらず、主人公が初参戦した大会での惨敗直後に「やっぱり勝ちたい」と言い出す。この心境の変化が突然すぎて笑ってしまう。物語の主題からは外れてしまう部分ではありますが、この辺の段取りをきちんと描けていると、少女の成長物語以外のスポーツものとしての側面でも楽しめたのではないかと思うと、残念ではあります。
それでも定石どおりに展開する少女の成長物語としては安心して観ることができますし、母娘の関係描写も丁寧で興味深く、改めて女性監督作品らしいなと思います。エレン・ペイジの好演もみどころな小品として、観て損はしない作品だと思います。
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