『カーズ２』 - T_J_Newton’s パンタージャ

『カーズ２ 3D吹き替え版』(公開中)

うーん、ピクサー作品でなければ「まあ普通に楽しめるCGアニメ」だったんだろうけれど。特にここ数年のピクサー作品の完成度の高さがハッキリと常軌を逸していたことが、この作品のハードルを無駄に上げていたことも確かで、そう考えると少し可哀相でもある。
でも実はこの作品は監督ジョン・ラセターの思い入れの強さだけで製作がスタートしたと言っても過言ではない状況下で生まれている。ジョン・ラセター自身、前作『カーズ』以来の監督作品。現在はピクサーとディズニーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであり、一時低迷していたディズニーを再生させた優秀なプロデューサーであることに一分の疑いもない。けれどもしかしたら監督としてはその才能を充分に発揮できないのではないかと、彼の経歴を改めて参照すると思ってしまう。
冒頭に「ピクサー作品でなければ」と書いたが、思い返してみると結構とっちらかった脚本だったし、技術的な挑戦以上に「まずは物語ありき」というピクサーの信念から逸脱してしまった作品であったように思える。
駄作だとは言わない。基本的なところでもっとヒドイ作品はいくらでもある。けれど凡作とくらいには言ってもよいと思う。それも「ピクサーにしては」という限定付きで。